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スムーズなリギング法


アメリカ北西部の悪名高いリガー、ロジャー・バーネットはかつて『俺は今まで自分が吊り下げた木の重さなんて気にした事はないよ。』と豪語していました。彼は自分の使う道具をしっかり理解していたからこそ、そう言いきることができたのでしょう。
リギング・ツールに関する知識は、物理法則、木の形態、リスクアセスメント・・・(と際限なく続きますが)と同様に大変重要です。リギングを成功させるにはたくさんのをいかに組み立てるかがカギになります。


もちろん吊り下げる木の『重さ』は大事な要因です。重量換算表を見たりメジャーで計って計算するのもひとつの方法ですが、クレーン作業をする時に吊り下げた木の重量をチェックしていれば、素早くそしてかなり正確に重さを推測できるようになります。

クレーン作業は常に静的荷重なので300kgの荷重は常に300kgでそれ以上の荷重がかかる事はないわけです。ロープで吊り下げる時にも300kgの荷重がリギング/アンカー・ポイントにかかるはずです。


材を地面まで滑り落としてしまえば荷重はかなり軽減できます(ダイナミックローディング)。衝撃は地面が吸収します。運動エネルギーは材とロープを結んだ所、プーリー、ロアリング・デバイスなどで熱に変換します。
それとは逆に落下した材を止めてしまうと(ショックローディング)、荷重は落下した距離に応じて急激に増加します。
この『ダイナミックローディング』と『ショックローディング』は両極端ですが、実際のリギングはその中間のどこかで行なわれるわけです。

リギングは非常に奥が深く複雑なテーマなので、いかに多くの知識を持つかが技術と安全性を向上させ、さらにリギングが楽しめるかどうかも決まります。ですから皆さんには自分で学ぶ事と同時にできれば講習会へ参加する事もお勧めします。
それでは、フリクションについて、ロアリング・デバイスの使い方について、そこに発生する熱エネルギーとそれが全体のシステムに与える影響について見て行きたいと思います。


フリクションについて

ロープに発生する摩擦には3つの要因が関係しています。


1)ロープにかかる荷重
道具の強度、アンカーの強度、枝を下ろす地面の状況、グランドクルーの技量等を考慮してどれだけ荷重を掛けるか決めます。

2)摩擦係数
ロープとロアリング・デバイスの擦れ具合です。摩擦係数はロアリングデバイスの径に大小があっても変わりません。デバイスにロープを1回巻くと係数は10:1になります。もうひと巻き増やすと係数は大きく増え、2回巻きで50:1に、3巻きで250:1にもなります。300kgの荷重をロープ1巻きだと30kg、2巻きだと6kgの力で支えられるということです。巻き数を多くしすぎると切り落とした材が急に止まって、発生した衝撃でクライマーが激しく揺られることになります。

3)ロープの曲がり具合
プーリーやロアリング・デバイスの外径とロープ径の関係が適切な時に初めて理想的な力と強度が得られます。

ロープにかかる運動エネルギーと熱エネルギーも3つの要因が関係します。

1) ロープにかかる荷重
軽い荷物を早く下ろした方が重い荷物をゆっくり下ろすより高熱が発生します。重い荷物の落下を止めるとデバイスに巻いた部分が高熱になって溶けたり衝撃荷重が掛かって切れてしまいます。


2)摩擦係数
巻き数が少なすぎると落ちるスピードが速くなって摩擦熱で溶けてしまいます。巻き数が多すぎてもデバイスに巻いた部分が高熱になって溶けたり衝撃荷重が掛かって切れてしまいます。

3)ロープの曲がり具合
プーリーやロアリング・デバイスの外径が大きいと、熱がより発散するのと機械的倍率も加わって作業が楽になります。より大きな径のロープも使えます。

プーリーとフリクション・デバイスを併用すると摩擦をコントロールできるシステムが作れます。リギングで非常に便利なシステムで、ロープのたるみを取ったり荷物を引き上げることもできます

次に個々のデバイスを紹介します。


バッキ ンガム・ポータラップ



『ポータラップ』は主に幹の根元に固定して使うシンプルな道具です。
サイズは大中小3種類。写真に写っているのは左から12mmロープとSサイズ/16mmロープとMサイズ/18mmロープとLサイズです。



材質も3種類あります。ブラック塗装 スチール(黒)/ニッケルメッキ・スチール(シルバー)/アルミニウム(グレー)です。アルミニウムは熱伝導率が高くロープに発生する熱をよく発散するの と軽いのが利点ですが、スチールに比べかなり早く摩耗します。

幹への固定方法も何通りかありますが、一点で固定され自由に動くためどんな形の幹にも取り付けやすいのと、ロープが斜めに掛かっていてもその方向に向いてくれます。

僕はポータラップSがお気に入りです。コンパクトなのでハーネスにぶら下げて木に登り、樹上作業でいろいろと使えるからです。吊り下げるスピードをコントロールできます。ロープの巻き方を調節すればある程度ハンドフリーで使え、リギングにおいて十分な能力を発揮してくれます。『ハンドフリー・リギング』は吊り下げ方法を変える可能性を持つ大変興味深い分野だと思っています。今後もっと研究したいと思っています。




ロアリング用ボラード(係柱)2種: 
ツリーワーカー『フリクションチューブ』 & スタイン『RC3001』

大きな材を早く吊り下ろすためには十分な径のボラードが必要になりますが、この2つのロアリング・デバイスはそのようなヘビーリギング用のツールです。


ツリーワーカー『フリクションチューブ』



ツリーワーカーのフリクションチューブは“ちょっと”重いですが、写真のようにまずスリングで吊り下げれば1人でも取り付けられます。ラチェット・ストラップ2本で、どのような形の幹にも安定してセットできます。土台のプレートはスリムなデザインで、必要な時に大きな荷重に耐えられる構造になっています。2つセット方法が選べます。1つはゴムを付けたままのセット法。もう1つは、より安全でヘビーなリギングのための『カット・イン』、幹の一部を平らに削ってフィットさせる方法です。裏側のゴムをソケットレンチで取り外してトップのひさし状プレートを削った部分に密着させます。幹を保護したい場合はこのひさし状プレートの取り外しができます。




バッキンガムはLサイズ・ポータラップに使うロープの最大径を19mmと推奨していますが、下の写真で見比べて下さい。フリクションチューブの径が十分大きいのに比べると、ポータラップに巻かれたロープはちょっとキツそうに見えます。



下は小径のロアリング・デバイスによって表面が擦れてしまったロープです。



スタイン『RC3001』

RC3001もスリングで吊り下げれば1人で取り付けられます。これはラチェット・ストラップ1本でセットします。スタインは下方にもう1本スリングを取り付けることを推奨しています。このデバイスは簡単に『カット・イン』できます。スタインはRC3001に使うロープの最大径を19mmと推奨しています。プレートの裏には2つのゴム・プレートが付いています。青い塗装は簡単に剥げますがその目的は装飾のみ、その下には亜鉛メッキが施されています。




引き上げ装置

今まで紹介した全てのロアリング・デバイスにはプーリーの機械的倍率を利用した引き上げ装置を組み込むことができます。デバイスのボラードやプーリー径が大きい方が引き上げが楽になります。



GRCS(Good Rigging Control System)

GRCSは3つのパートが組み合わされたバック・プレートを持っています。1つはラチェット・ストラップで幹にセットする部分、真ん中のプレートはウィンチやアルミチューブを取り付ける部分、3つ目のプレートはラチェット・ストラップのフックを掛ける部分です。これに付け加えるパーツも別売で用意されています。別売のひさし状プレートを取り付ければより安定したセッティングができます。アメリカには自動車の牽引フックに取り付けるためのアタッチメントやウィンチを巻き上げるエンジン駆動装置もあるようです。GRCSはリギングだけでなく、伐倒,切り株の引抜き、集材と幅広く使える道具です。

非常に大きな機械的倍率を持つため、重い材木を楽に動かすことができます。その反面初心者が安易に使うと重大事故を起こす可能性も持っています。GRCSを使い慣れない者が荷重を掛けすぎてアンカーが壊れる事故がよく起こります。使い方が明確に理解できるまでしっかり習ってもらいたいと思います。

アルミ製ボラードは中に氷のパックを詰めると、摩擦熱の発散を促してより重量のある材をより早く吊り下ろしできるようになります。







ロアリング・デバイスに関するデータ

道具検査の専門家マイク・ポーファムは、ウェールズにあるISCの工場で行なわれたカラビナの引張り破断試験を観察した時のことを回想してこんな風に言っています。「カラビナが目に見えて変形し正に破断する瞬間『ピリッ』という音が聞こえた。カラビナは音速で壊れたんだ。」と。音速は大げさだとしても、荷重を掛けすぎて破壊された金属片はものすごい早さでクライマーの体を突き抜けます。

だからもしもの時の事を考えると、ロープが先に切れるような道具の組合わせをするべきです。



上表のスペックを見るとポータラップS、M、Lはデータ上はどれも推奨最大ロープが切れるより先にデバイスが壊れてしまいます。Yaleポリダインの破断荷重は静荷重で真直ぐ引っ張った時のデータですからノットを作ったり曲げたりした時点で強度はかなり減少しますが、それを考慮してもポータラップLだけは最大16mmのロープにした方がいいと思います。最終的には使用する各人が判断する事ですが、メーカーのデーターに丸々従わずに、より安全なチョイスをして欲しいと思います。僕は自分の仕事にはリギングラインにはノットを結ばずにスプライスしたものを使い、プーリーやロアリング・デバイスはできるだけロープの曲がりが大きくなるものを選びます。そしてポータラップLには14mmロープを組み合わせます。

結論を言うと、ヘビーなリギングを安全に行なうためには、自分の道具にしっかりなじむまで良く理解する事が絶対条件という事なのです。