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 ロープの種類 
 クライミングロープ スペック表   リギングロープ スペック表   スタティックロープ スペック表 
 プルージックコード スペック表 

 ロープ高所作業においてロープはまさに命綱です。現在世の中には膨大な種類のロープがありますが、それぞれに特徴があり使う目的や条件によって適切なロープを選び出す必要があります。皆さんの安全な作業のためにロープについての充分な知識を学んで頂きたいと思います。

1 ロープの構造
ロープの構造には大きく分けてストランドロープ(撚りロープ)とブレイドロープ(編みロープ)があります。ブレイドロープにはさらに多くの種類があります。それぞれのロープの特徴について説明していきます。

1−1 撚りロープ(ストランド ロープ)
撚りロープは人類が大昔から今に至るまで使い続けてきたロープで、1万年以上前に使われたロープも発掘されています。繊維を撚り合わせた糸(ヤーン)を撚り合わせて作った子縄(ストランド)をさらに撚り合わせて作られています。ヤーンとストランドの撚り方向を逆にして簡単にほどけなくしています。


■ 3ストランド
撚りロープといえば3本のストランドを撚り合わせた3ストランドロープがほとんどでしょう。Z撚り(左撚り)とS撚り(右寄り)があります。他の構造のロープに比べると強度が弱くねじれやすいのですが、直接木にロープを掛ける場合(ナチュラルクロッチ)には向いています。またローププラーやプラロックに使う時にはこの3ストランドを使わないと摩擦が充分に得られず滑ってしまいます。ハンドスプライスが可能です。






1−2 編みロープ(ブレイド ロープ)
編みロープの方は1950年代後半に登場した非常に新しい種類のロープです。ヤーンやストランドを編んで作られています。単層構造のシングルブレイド(ホローブレイド)とカバー/コアで作られた2重構造のカーンマントル(カーン=表皮、マントル=芯)があります。カーンマントルも2種類あり、コアが細く平行に走る数本のストランドでできたパラレルコアと、コアも編みロープでできたダブルブレイドがあります。


12ストランド(ホローブレイド)
12本のストランドを編み込んだ芯のない角編み構造のロープです。他の構造のロープと比べて強度が一番ありねじれにも強いのですが、摩耗しやすいためリギング/牽引ロープとして使うには不向きです。ブロックやポータラップの台付けとして最適です。
コアがないためハンドスプライスがやりやすくデッドアイスリング等が簡単に作れます。
サムソンのTenex TEC やトイフェルバーガーのT-REXがこの構造のロープです。





■ 16ストランド
16本のストランドを編み込んだ厚いカバーと、平行に走るストランドのコア(パラレルコア)でできています。ねじれにくい構造で、ツリークライミングによく使われるロープです。コアはロープの形を丸く保つ働きがメインで、カバーが荷重のほとんどを負担します。ハンドスプライスが可能です。








■ ダブルブレイド
ダブルブレイドは、カバーもコアも編みロープでできています。カバーは24ストランドから48ストランド、コアも8ストランドから12ストランドと数種類あります。カバーとコアでほぼ半分ずつ荷重を負担しています。ナチュラルクロッチにするとカバーとコアがずれて強度が弱くなるため、プーリーやブロックにロープをセットして初めてロープ本来の強度が発揮できます。ツリーワーク用のクライミングロープ、リギングロープ、そしてプルージックコードの多くがダブルブレイドです。(後述)ハンドスプライスが可能です。





■ カーンマントル(パラレルコア)
カーンマントルはカバーとコアがあるロープという意味なので、前述の16ストランドもダブルブレイドも本来はカーンマントルロープなのですが、カーンマントルといえば、ブレイドのカバーと数本のストランドロープが平行(パラレル)に入ったコアでできたロープを指すようになっています。48ストランド等の編み目が細かいカバーが使われ、滑らかでアッセンダーやでディッセンダー等の器具と相性が良い構造です。またカバーは薄くコアをホコリや擦れから保護する目的で、荷重は7割以上をコアが負担します。ビルメンテナンス等の高所作業でこのロープが使用されます。伸び率の大きいダイナミックロープと伸びの少ないスタティックロープがあります。(後述)パラレルコアのためハンドスプライスができず、糸で縫製してアイ加工をします。



2 ロープの素材
ロープの素材には長く使われてきた天然素材(綿、麻、マニラ麻 等)と19世紀末に登場した化学繊維がありますが、ロープ高所作業には化学繊維が使われています。その中でも汎用性に優れたクラス1と、近年開発された強度、耐熱性、耐摩耗性に特化したクラス2がありますのでそれぞれ紹介します。

2−1 クラス1
■ ナイロン
ナイロンはポリアミド繊維の一つで、アメリカのデュポン社が開発し日本の東レが一般に普及させました。強度、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性とオールランドな性能を持っています。融点は218~254℃、比重1.14です。
クライミングロープやリギングロープ等,ダブルブレードロープのコアに使用されています。

■ ポリエステル
ポリエステルはナイロン並みの強度を持ち、低い伸び率、耐酸性、耐摩耗性、対紫外線性に優れています。水に濡れると強度が増すため漁具や船舶などに多用されています。融点は225℃〜275℃前後。
クライミングロープのカバーやリギングロープの芯に使われています。

2−2 クラス2
■ アラミド系繊維
アラミド系繊維は耐熱性、高強度、耐摩耗性に優れていますが、紫外線には弱い性質を持っています。ケブラーテクノーラがこれに該当します。ケブラーはアルカリ性に弱くテクノーラは耐薬品性もあります。防弾チョッキ、ヘルメット、チェンソープロテクション等に使用されツリークライミングでは常に摩擦熱が発生するプルージックコードのカバーにポリエステルとの混紡で使われています。融点は435℃〜500℃。

■ 非晶ポリアリレート系繊維(LCP)
ベクトランが該当します。耐候性、耐紫外線、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性に優れています。耐薬性では強酸、アルカリ性には弱い性質を持っています。漁網、釣り糸、遮光シート、プルージックコードなどに使用されています。融点は450℃。

■ 超高分子料ポリエチレン (HMPE)
ダイニーマスペクトラがこれに該当します。耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性、耐薬性に優れています。比重は軽く吸水率も低いため水に浮きますが、融点が128℃と低く摩擦熱が発生するプルージックコードには向きません。牽引用ロープ、スリング、ウィンチロープ、船舶の係留ロープ等に使用されています。

2−3 その他の素材
■ ポリエチレン (PE)
ポリエチレン (PE)は耐薬性に優れ、絶縁性が高く、耐水性で水に浮きます。低温でも強度が落ちませんが、熱や紫外線には弱い性質を持っています。容器や包装用フィルムに使用され、トラロープもこの素材でできています。融点は70℃〜110℃です。

■ ポリプロピレン (PP)
ポリプロピレンは身の回りに最も多く使われている素材で、耐熱性、耐薬性に優れ、強度も高く、最も比重が低いため水に浮きます。しかし、紫外線に弱く染色性も悪いため服地やロープの素材としては向いていません。融点は130℃〜165℃です。



3 ダイナミックロープとスタティックロープ

カーンマントルの説明中ダイナミックロープスタティックロープについて述べましたが、一般的に伸び率36%以上のロープをダイナミックロープ、5%以下のものをスタティックロープと分類しています。(伸び率は通常ロープの破断荷重の10%の荷重を掛けた時の伸びを表します。)
ダイナミックロープは、ロッククライミングで、リードクライマー (最初に手足だけで岩に登ってアンカーをセットしていく人) が墜落した時に体をその衝撃から守るためにロープが十分に伸びて吸収できるように作られています。
それに対してスタティックロープはケービング(洞窟探検)やロープ高所作業等で、最初からロープに吊り下がって登り降りしたり荷物の上げ下げをするが目的なので、できるだけ伸びたり跳ねたりせず効率よく登れるように作られています。ツリーワーク用ロープは伸び率が2%〜4%程度なのでスタティックロープに分類されますが、カーンマントルは硬めのものが多くノットを結ぶことが多いツリーワークには向かないものがあります。またクライミングには適度に伸びたロープの方が使いやすいようです。
(写真:上がダイナミックロープで下がスタティックロープです。見た目では違いが分かりませんが、ダイナミックのコアの方がよく伸びるように撚られています。)



4 クライミングロープとリギングロープ
 
ツリーワークの主役ダブルブレイドにもクライミングロープとリギングロープがありますが、それぞれの用途に合った作り方になっています。クライミングロープは自分の体重と器具を合わせても100kg程度の荷重が掛かるだけです。また、プルージックコードやクライミングデバイスを取り付けてロープ上を移動するため、それらが安定してスムーズに使えるように形状が変形しにくいように編まれています。
それに対してリギングロープの方は場合によっては荷重が数100kgに達するため強度の確保が優先しています。強度のみ考えると前述の12ストランド ホローブレイドの方が強いのですが、擦れに弱いため総合的にはダブルブレイド リギングロープの方がより用途に適している訳です。コアがナイロン製のものは伸び率が多少大きく強度も若干高いので衝撃荷重が掛かりやすい作業に適していますが、逆にウィンチロープとして使うとロープが伸びて荷重が溜まり材がいきなり動き出す危険性が高くなるので、伸び率の低いポリエステル100%のロープがより適していることになります。
(写真:上がクライミングロープで下がリギングロープ)


 

 

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